正にフードフレンドリーなワイン。 偉大なワインは言うに及ばず、単独で楽しめるハイクオリティワインは食事と共に合わせて飲むにはオーバークオリティだと常々思っている。 勿論、特別なディナーや企画の際には華のあるワインを食事と共に楽しむのは素晴らしい事だと思うが、特別にリッチな人を別にすれば高価なワインを食事の友にするのはいろいろとバランスが悪い。 1000円程のこのワインは単独で提供して感動を呼んだり、ワインラヴァーを歓喜させたりする事はまずないだろう。けれども、「食事に合わせる」という一点に集中すると、見事にその役目を果たしてくれる。主役に躍り出る事なく、ただただ綺麗に寄り添ってくれる。 このワインから想起されるワードは「完熟」。ワインの出来を左右するありとあらゆる要素の中で、果実の完熟度の部分を一番感じさせられる。 本質的にタンニンの強い品種の若いワインでありながら、まろやかさが前面に来るのはその理由ゆえだろう。特別にアロマティックではないが程よいブラックベリー感がきちんとしたワインであることを伝えてくる。目立つことのない酸、どっしりとした凝縮感、長めの余韻が、安いワインであることを忘れさせてくれる。 飲食店でグラスワインの候補に挙げられるワイン。

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