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3.0
私には、応援したり、贔屓にしている女性ジャズ・ヴォーカリストが何人もいるのだが、その中でもNさんは強い絆で結ばれている一人だ。 2007年の冬、六本木のジャズ・クラブで1曲だけ初めて彼女の歌声を聴いた時、Nさんは22歳と10ヶ月。 暫くして、東急東横線沿いの某ジャズ・バーにおける毎月最終金曜のミッドナイト・セッションに現れるようになり、圧倒的な才能と魅力的な人柄とチャーミングさで出遭う全ての人を虜にするようになった。老舗且つ名門の代々木にある店の厳しいオーディションでも優勝し、毎月レギュラー出演。いつも満席状態となった。 いつも驚かせてくれる彼女。 そんな人気絶頂の最中に渡米。あちらで生活を始めてしまった。 久々に東京で再会したのは2009年の5月。 私は、誕生日プレゼントに1本のスペイン・ワインを彼女からいただいた。 6月、件のジャズ・バーで、初めてのリーダー・ライヴをすることになった。長年の付き合いの女性ピアニストと、実力派の女性ウッドベーシストとの共演。 予約だけでも小さな店の席は全て埋まり、当日は何人もの立ち見が出来た。 彼女はそんなライヴに、私の為の席を確保してくれた。 私は、開けないままでいた、彼女からいただいたスペイン・ワインを持参した(その店で私は特別に持ち込みワインを許してもらっていた)。終演後に彼女と笑顔で乾杯する為に。 以下、当時書いた文章からの抜粋。 ☆ この夜に持参した1本はスペインの「コディセ」といい、ラマンチャ産のテンプラニーリョ100%の赤ワイン。調べたら、何度か飲んだことのあるエストラテゴ・レアルのワン・ランク上にあたるとのこと。 実は、ヴォーカリス卜御本人から誕生日プレゼントとしていただいていたもの。おそらくは彼女も飲んだことがないだろうし、せっかくだからと思った次第。 ☆ そして、終演後。 ☆ 程なくして、初来店組が一斉に店を去り、ヴォーカリストとピアニストが見送る。 それを終えたヴォーカリス卜に、御本人からいただいたワインの残り1杯分をグラスに注いで乾杯。 マスターK氏にも飲んでもらったが、やや酸味があるものの、美味しい。 少し冷やすと良いのかもしれない。 せっかくの頂き物、空瓶をワイン袋に戻し、持って帰ることにする。 ☆ ワインに関するこれといった感想はないが、後日、改めて1本飲んでみた。いかにもスペイン、いかにもテンプラーニョといったワインで、とても気に入った。 Nさんはその後、リーダー・アルバム(CD)を発表。 何人ものミュージシャンやヴォーカリストにライナーノーツ執筆の依頼を受けてはお断りしてきたのだが、何度か断りながらも、「どうしてもお願いします!」という彼女の熱意に負けて、親しくしているジャズ・ヴォーカリストの中で初めてライナーノーツを引き受けた(おそらくは、最初で最後だと思う)。その後ライナーノーツは、担当ディレクターにもNさん御本人にもとても気に入られ、アルバムを購入した見知らぬ多くの方からも好評を得た。 その後、彼女は電撃結婚をして、また私を驚かせた。 一児の母となり、今は(御主人の仕事の都合で)先月からスペインのマドリードで家族3人暮らしている。 「スペイン産ワインが美味し過ぎて、ヤバい」というメールを今日いただいたばかり。 このワインもあちらで飲んでいるのかな? 彼女の歌声に魅せられた多くのジャズ・ヴォーカル・ファンが彼女の現場復帰を望んでいる。 子育てが落ち着いた後になりそうだが、その時がとても楽しみだ。 再会の暁には、スペイン産ワインについても色々と教えてもらおうと思っている。 どんな女性、どんな歌い手となって、我々の前に再び現れるだろうか。 その時に彼女に渡すワインをゆっくりと考えている。
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私には、応援したり、贔屓にしている女性ジャズ・ヴォーカリストが何人もいるのだが、その中でもNさんは強い絆で結ばれている一人だ。 2007年の冬、六本木のジャズ・クラブで1曲だけ初めて彼女の歌声を聴いた時、Nさんは22歳と10ヶ月。 暫くして、東急東横線沿いの某ジャズ・バーにおける毎月最終金曜のミッドナイト・セッションに現れるようになり、圧倒的な才能と魅力的な人柄とチャーミングさで出遭う全ての人を虜にするようになった。老舗且つ名門の代々木にある店の厳しいオーディションでも優勝し、毎月レギュラー出演。いつも満席状態となった。 いつも驚かせてくれる彼女。 そんな人気絶頂の最中に渡米。あちらで生活を始めてしまった。 久々に東京で再会したのは2009年の5月。 私は、誕生日プレゼントに1本のスペイン・ワインを彼女からいただいた。 6月、件のジャズ・バーで、初めてのリーダー・ライヴをすることになった。長年の付き合いの女性ピアニストと、実力派の女性ウッドベーシストとの共演。 予約だけでも小さな店の席は全て埋まり、当日は何人もの立ち見が出来た。 彼女はそんなライヴに、私の為の席を確保してくれた。 私は、開けないままでいた、彼女からいただいたスペイン・ワインを持参した(その店で私は特別に持ち込みワインを許してもらっていた)。終演後に彼女と笑顔で乾杯する為に。 以下、当時書いた文章からの抜粋。 ☆ この夜に持参した1本はスペインの「コディセ」といい、ラマンチャ産のテンプラニーリョ100%の赤ワイン。調べたら、何度か飲んだことのあるエストラテゴ・レアルのワン・ランク上にあたるとのこと。 実は、ヴォーカリス卜御本人から誕生日プレゼントとしていただいていたもの。おそらくは彼女も飲んだことがないだろうし、せっかくだからと思った次第。 ☆ そして、終演後。 ☆ 程なくして、初来店組が一斉に店を去り、ヴォーカリストとピアニストが見送る。 それを終えたヴォーカリス卜に、御本人からいただいたワインの残り1杯分をグラスに注いで乾杯。 マスターK氏にも飲んでもらったが、やや酸味があるものの、美味しい。 少し冷やすと良いのかもしれない。 せっかくの頂き物、空瓶をワイン袋に戻し、持って帰ることにする。 ☆ ワインに関するこれといった感想はないが、後日、改めて1本飲んでみた。いかにもスペイン、いかにもテンプラーニョといったワインで、とても気に入った。 Nさんはその後、リーダー・アルバム(CD)を発表。 何人ものミュージシャンやヴォーカリストにライナーノーツ執筆の依頼を受けてはお断りしてきたのだが、何度か断りながらも、「どうしてもお願いします!」という彼女の熱意に負けて、親しくしているジャズ・ヴォーカリストの中で初めてライナーノーツを引き受けた(おそらくは、最初で最後だと思う)。その後ライナーノーツは、担当ディレクターにもNさん御本人にもとても気に入られ、アルバムを購入した見知らぬ多くの方からも好評を得た。 その後、彼女は電撃結婚をして、また私を驚かせた。 一児の母となり、今は(御主人の仕事の都合で)先月からスペインのマドリードで家族3人暮らしている。 「スペイン産ワインが美味し過ぎて、ヤバい」というメールを今日いただいたばかり。 このワインもあちらで飲んでいるのかな? 彼女の歌声に魅せられた多くのジャズ・ヴォーカル・ファンが彼女の現場復帰を望んでいる。 子育てが落ち着いた後になりそうだが、その時がとても楽しみだ。 再会の暁には、スペイン産ワインについても色々と教えてもらおうと思っている。 どんな女性、どんな歌い手となって、我々の前に再び現れるだろうか。 その時に彼女に渡すワインをゆっくりと考えている。
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